お口の健康情報

No.15『喫煙と口腔疾患』
 昨今、禁煙に対する取り組みは様々なところで進められており、最近では名古屋市、大分市でタクシーの全面禁煙が始まりました。最近の新聞記事でも喫煙男性は4割を切ったそうです。一方で喫煙している母親の半数近くが妊娠中もたばこを吸っていたという調査結果もあります。医学関連学会でも2005年12月に9つの学会が「禁煙ガイドライン」を発表しています。これは「喫煙は病気」、「喫煙者は患者である」というのが基本認識です。

 喫煙と因果関係の強い口腔疾患としては、口腔癌、歯周炎、口唇・口蓋裂、根面う触があげられます。また、喫煙による歯の着色、味覚の減退、口臭の原因にもなります。特に喫煙は歯周病を悪化させる大きな原因です。

 タバコに含まれるタール分やニコチンが炎症を起こした歯肉の再生を阻害し、白血球の機能を弱め治癒機能障害と免疫機能低下による易感染性が指摘されています。また、末梢血管が収縮して歯肉の血流を阻害し、歯と歯肉への酸素や栄養の供給を悪化させてしまいます。

 米国で行われたある調査では、喫煙者は非喫煙者に対して4倍歯周病になりやすく、歯周病のリスクは1日の喫煙本数に比例して高まり、歯周病患者の52%が喫煙が原因であると推計されています。また修復能力の阻害は抜歯などの外科処置やインプラントの成功率にも悪影響をあたえます。

 禁煙はもっとも確実に疾病を減らすことができる方法と考えられていますが口腔疾患も例外ではありません。

岡山市歯科医師会

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