お口の健康情報

No.17『よく噛んでいる人はボケない』
 よく噛むことには、いろいろな効果があるといわれています。そのひとつにボケ防止につながるのではないかということです。なぜなのでしょう。ある統計のデータでは、健康なお年寄りの方は平均で8.81本の歯を持っているのに対して、痴呆老人の方は平均3.59本しかなかったそうです。

 また痴呆の原因には大別すると血管障害によるものと、記憶細胞の障害(アルツハイマー型)によるものの二つに分けられますが、日本の老人性痴呆症の半分以上が血管障害型です。食べているときの脳の中の血液の流れを調べた研究でも、実に活発に流れていることがわかっており、このことからもよく噛むことが痴呆の予防策のひとつになるのではないかと考えられます。

 さらに記憶に関する研究でも面白ことがわかっています。脳の中の海馬(かいば)というところが大きくかかわっているのですが、固い餌を与えたねずみとやわらかい餌を与えたねずみで比較をおこなった実験では、固い餌をあたえたねずみの方が、上記の海馬(かいば)への栄養補給がより多くおこなわれているそうです。

 このことからも噛むことによって、記憶を司る細胞を維持できる可能性が考えられます。実際に、会話もままならない寝たきりの老人の方に、きちんとした入れ歯をつくって噛めるようにすると、徐々に会話もできるようになり表情も豊かになっていくことをよく経験します。歯を大切にして、しっかり噛むようにしていきましょう。 

(噛めば噛むほど13の奇跡 斉藤 滋著 より引用)

岡山市歯科医師会

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