お口の健康情報

No.34『再生療法について』
 最近いろいろなメディアで再生医療、あるいは組織工学という言葉を見たり聞いたりすることが多いと思います。再生医療とは、細胞を利用して失われた組織・臓器の形態と機能を元通りにする医療のことで、組織工学とは工業的技術を応用して組織・臓器を再生する学問です。歯科の分野でも歯とそれを支える組織(歯周組織)の再生がさかんに研究されています。歯の再生については、智歯(親知らず)の細胞を利用する研究が報告されて耳に新しいところですが、実用化はまだ先のことになりそうです。

 歯周組織の再生については、歯を支える顎の骨や歯ぐきを再生させる新しい薬剤が開発され、一部実用化されて臨床に応用されています。これは簡単にいうと、歯を支える骨や靭帯をつくることのできる細胞をその場所に呼んでくる指令を出す薬剤です。具体的には、歯周病で歯を支える骨がなくなった部分にその薬剤を作用させると、骨と歯ぐきが元通りにできたり、すでに歯が失われていてその部分に人工歯根(インプラント)を埋める際に、骨の量が足りないときにこの薬剤を作用させて必要な部分に必要な量の骨を造る、というものです。

 今までにも自分の骨や代用の骨を必要な場所に入れて、なくなった部分の骨を造ることはなされてきましたが、これらの新しい薬剤をいっしょに作用させることで、より確実に骨を再生させることが可能になってきました。従来の方法よりも安全で痛みを伴うことが少ないため、欧米ではいまブレイク中ですが、日本ではまだまだ普及していません。この治療法は画期的なものですが、健康保険適応外となるため、かかりつけの歯科でよく相談されることをお勧めします。

岡山市歯科医師会

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