歯を磨いたり、冷たいものを口に入れたとき、虫歯でもないのに歯がしみることがあります。これが『知覚過敏』です。歯の表面の硬いエナメル質の下の象牙質の中には、「象牙細管」という細い管が歯の神経(歯髄)に向かって通っています。外からの刺激はこの管を通じて神経に伝わり、神経はそれらの刺激をすべて「痛み」として脳に伝えます。虫歯でなくても象牙質が刺激にさらされる状態になれば、歯はしみて痛みを感じます。強い力で横磨きしたり、多量の歯磨き粉を使用したり、噛み合わせが悪く歯に余計な力がかかったりした部分では、表面のエナメル質が削れて象牙質が露出してしまいます。その形は三角形でクサビに似ているため「くさび状欠損」と呼ばれています。この状態では刺激に直接さらされるため、歯はしみるようになります。
また、歯周病が進行すると、歯ぐきが下がって歯の根の部分が見えるようになります。歯根部分の象牙質はエナメル質よりやわらかなセメント質で覆われています。何かの刺激でセメント質が欠けて象牙質が露出すると、やはり歯がしみるようになります。このような時の治療は、正しい磨き方になおしたり、噛み合わせの調整や欠けているところに詰め物をしたりします。あまり長時間放置していると、神経が駄目になり神経を抜かなければならない状態になることもあります。異常があれば早めに歯科医院を受診するようにしてください。
最近いろいろなメディアで再生医療、あるいは組織工学という言葉を見たり聞いたりすることが多いと思います。再生医療とは、細胞を利用して失われた組織・臓器の形態と機能を元通りにする医療のことで、組織工学とは工業的技術を応用して組織・臓器を再生する学問です。
No.35『虫歯でもないのに歯がしみるのは、どうして?』