お口の健康情報

No.39『喫煙と口腔内の疾患について』
 喫煙による様々な健康被害は、全身的によく知られているところですが、タバコの入り口である口腔内に対してもたくさんの健康被害をもたらします。たとえば、歯周病の進行、口腔がんの発生、歯根面の虫歯、口腔粘膜および歯肉・舌の異常、味覚障害、唾液の変化、口臭の発生などたくさんの問題を起こしやすくします。

 喫煙と歯周病との関連ですが、喫煙者では、歯周組織の破壊が進みやすく、また歯周組織が破壊されても、歯肉からの出血など体の免疫反応である炎症がおこりにくく、歯周病の発見自体が遅れる傾向があります。また、喫煙者では、歯周病の治療に対する効果が、大きく劣る傾向があります。喫煙により歯周組織が破壊されるメカニズムですが、歯周組織の血のめぐりが悪くなって組織に対する酸素や栄養補給が低下します。また、ニコチンが組織の接着や配列を傷つけます。これらによって免疫機能や傷を治す機能が低下し、歯周病菌に対して感染しやすくなるうえ、治癒しにくくなるわけです。

 禁煙はなかなか難しいようですが、喫煙者は是非、早急に禁煙にトライしてみてください。禁煙の効果が現れるまでは、相当の時間を必要とします。歯の喪失や歯周病のリスクは、禁煙から11年以上たってやっと非喫煙者のレベルに近づくというデータがあります。歯肉のメラニン色素沈着は、禁煙後1年で半減し、3年以上で非喫煙者のレベルまで低下します。歯の着色や口臭に関しては、効果は直ちに現れます。

 最後に、喫煙の習慣は、実はニコチン中毒という一種の薬物中毒であり、その中毒から脱するためには様々な努力、方法が必要です。最初から喫煙の習慣を持たないのが一番簡単で効果のある健康増進の方法だと思います。

岡山市歯科医師会

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