お口の健康情報

No.43『歯の再植と移植(歯根膜とは)』
 何らかの原因(転んだり、ぶつけたり)で、歯が脱落する(抜け落ちる)事があります。その歯を元あったところにもう一度入れてやる事を、再植(リプランテーション)と言います。そうしてもう一度歯として使うことが出来ることを知っている方は結構おられると思います。

 では、この様な状況に居合わせた時、落ち着いて対処できますか?一番大切なのは、歯の根の周りに付いている組織、歯根膜です。この組織の細胞を壊さないよう気を付けなければいけません。抜け落ちて汚れた歯をブラシで擦ったり、水道水で洗ったりしてはいけません。歯根膜がちぎれ、水道水の塩素で細胞が死んでしまうからです。また、出来るだけ早く元に戻す必要がありますし、歯を乾燥させてもいけません。生理食塩水という体の細胞の中に近い水に浸すか、私たちの身の回りでは牛乳に漬けるか、泥だけ流水で落とし飲み込まないようにして口の中に入れたまま歯医者さんに急いで下さい。歯根膜が元気であればほぼ元通りに歯が機能することが期待できます。

 また再植には、根の治療が出来ない歯を、一旦抜歯して根の先を治療後元の場所に戻してやるという裏技があります。この様に抜けた歯も歯根膜が健康ならまた機能するのです。そこで親知らずのように抜く必要がある歯を、他の歯を抜いた所に入れてやることが出来ます。これを移植(トランスプランテーション)といいます。早くに第一大臼歯などが抜歯になった時など不必要な親知らずをそこへ移植します。

 歯の大きさが違っていても結構定着して機能してくれます。この時も移植歯の歯根膜を傷つけないことが大事です。歯根膜ってけっこうすごいですね。すべての歯科医院でされている訳ではありませんので、かかりつけの先生に相談してください。

岡山市歯科医師会

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