最近の身近な話題として、お口の環境が体に及ぼす影響について、以外に大きいことが注目されています。近年の世界的研究から、歯周病になると肺炎、心臓病、糖尿病、早産などを誘発することがわかってきました。このような研究は、歯周医学研究といわれるようになりました。 さらに、「歯周病が発癌のリスクファクターである可能性が高い」ということが先日のLancet Oncology誌に発表されました。
研究の方法は、医療系職種の40~70歳の白人男性、約5万人を研究対象者としてアンケート調査により行い、約17年間追跡調査しました。2年毎に発癌の有無、歯周病、喫煙歴、BMI、身体活動性、糖尿病歴、薬物投与歴の調査を、4年毎に食事内容の調査を行いました。発癌に関しては癌の専門家が診断しました。
その結果、歯周病非罹患者と比較して歯周病患者の危険率は癌全体で1.14倍と統計学的に有意に高値を示しました。また、肺癌で1.36倍、膵臓癌で1.54倍、腎臓癌で1.49倍、血液癌で1.30倍でした。
疫学調査だけでは歯周病による癌の発症メカニズムを解明することはできません。そのため、今後、歯周病と発癌の関係を実験結果あるいは臨床研究から解明することが重要であると考えられます。しかし、今回の歯周病と癌の関係を示した発表は歯周医学研究に大きな発展を呼ぶものでした。そして、歯科と医科が連携し全身疾患を管理する時代となりました。
難しいことを書きましたが、お口をいつもきれいにしておくことが体の健康の入口だと心がけていくことが大切なのではないでしょうか。
No.46『歯周病と全身とのかかわり』