「歯の治療をしたら、長年悩まされていた肩こりや腰痛が楽になった。」という話を聞かれたことはありませんか?
歯並びが悪かったり、歯を抜いて(歯が抜けて)そのままにしていたり、痛い歯をかばって噛んでいたりすると、咬み合わせのバランスが崩れてきます。顎が歪んできて、やがて肩こりや偏頭痛、腰痛などの全身症状へと移行することがあります。人間の身体は良くできているもので、身体が歪んでくるとバランスを保つため、神経―筋機能が補正を促すよう余計に働きます。だから毎日の生活には何の不都合も感じないのですが、バランスの悪さをそのままにしておくことは危険です。
例えば、顎の歪みが全身にまで及ぶ様子を、四本脚のイスで考えるとわかりやすいかもしれません。四本のうち一本の脚が短いイスの場合、最初のうちは、ガタガタと座り心地が悪いという程度ですが、次第にイス全体の接合部分に無理がきて、最後にはバラバラに壊れてしまいます。人間も同様に、咬み合わせがずれると、身体のいろいろなところに負担がかかってきます。歯は敏感で、前歯で約1グラム、奥歯で約5グラムというわずかな力を感じることができます。微妙なバランスの崩れにも反応し、身体全体のさまざまなところに影響を及ぼしてしまうというわけです。
お口の中だけでなく身体全体の健康を守るためにも、かかりつけの歯科医院で定期検診をお受けください。
No.50『歯と全身の健康』